些細なきっかけから

私は約2ヶ月間ペルーに滞在し、インカ考古学プログラムに参加しました。

プロジェクトアブロードとの出会いは、些細なものでした。

私は2015年の1月からアメリカに留学しており、4ヶ月ほどある夏休みを持て余していました。

留学先の大学では小さい頃からの夢であった考古学を勉強していたので、考古学のボランティアやインターンシップをインターネットで探していた時、一番初めに検索に上がってきたのがこのプロジェクトアブロードでした。

ペルーのインカ考古学プログラムとルーマニアの遺跡調査の2つがあり、どちらにしようか迷いましたが、昔からインカ文明に興味があったのと、あの有名なマチュピチュに行きたいという思いが強かったことで、すぐペルーに決まりました。

ペルーに行く前は、予防接種やスペイン語の勉強などに追われながら、少しの不安とそれを凌駕するこれから何が待っているだろうという期待と興奮を感じる中で、あっという間に出発の日が来ました。

いざ、ペルーに降り立った

今まで自分一人で旅行したことがない上に、スペイン語もままならない中でペルーに着いた時は、無事に着いたという安心感と、誰も知り合いがいない、日本人もいない、という寂しさに駆られていました。

しかし、クスコから車で4時間半ほどの長い道のりの末、活動拠点であるHuyroの村にやってきてコミュニティハウスに到着すると、他のボランティアのメンバーとスタッフがとても温かく迎えてくれて、ほっとしたのをよく覚えています。

到着したのが夜だったため暗く、外や周りの様子もわかりませんでしたが、翌朝鶏の鳴き声とともに目覚め外の景色を見た瞬間、圧倒されました。

今まで見たことがないほど美しく豊かな大自然と山々、澄んだ空気、太陽の光に照らされて光る木々。

あの瞬間を私は一生忘れないでしょう。

一瞬で、ああここに来て良かったなと直感しました。

まさかの地獄を見た?!

一日目は、村のことやコミュニティハウスのこと、周りの環境、インカ考古プログラムの説明など、簡単なオリエンテーションを聞いて終わりました。

次の日から早速プログラムに参加するとのことで、メンバーの一人が「明日は一緒にハイキングに来る?」と誘ってくれたので、「もちろん行くよ」と返事をしました。

しかし翌日、地獄を見ました。

あれはハイキングではなく、クライミングだと後から気づきました。

インカの遺跡の多くは高地にあるため、大抵山を登って頂上近くでやっとたどり着くという場合がほとんどらしく、もう少し体を鍛えてから来るべきだったと思いました。

その遺跡はCocalmayoという地域にあり、計50㎞を6、7時間かけてハイキングしました。

あれは人生で一番辛く苦しい体験だったのと、足に大きい水ぶくれが3つできて歩くことすら困難になったことから、しばらくはメンバーにからかわれました。

ただ、ハイキングをしている中で見た山からの景色もそれ相応に素晴らしかったので、今では良い思い出です。

考古学活動漬けの毎日

月曜日から水曜日までは、地元の考古学のJohnがやってきてプログラムの活動を仕切ります。

私が行ったときはドライシーズンで、ほぼ毎日晴天だったので、大抵ハイキングに行きMacheteと呼ばれる大きめのナイフのようなものを使って遺跡の周りに生えている木や草を刈るなどの清掃作業と、遺跡の全体像を絵に描いて記録しメジャーで測るなどのマッピングの作業をこなしました。

珍しく雨の日は、コミュニティハウスに留まり、発掘現場から採集した土器の分類分けや、作図などの作業をしました。

個人的にはハイキングも楽しいですが、作図がとても楽しく好きでした。

自分らしく生きると決めた

活動は時に肉体労働で大変でしたが、それすらも楽しいとも思えたのは、何よりも仲間との談笑が楽しかったからです。

真面目に取り組みながらもプログラムの仲間と日頃のこと、自分の国のこと、世界のこと、色んなくだらないことや大事な話をすることが何よりも楽しく幸せでした。

このインカ考古学プログラムで得たものは、人生で一番美しく価値のある経験と、世界中からやって来た同じ夢を持つ素晴らしい仲間たちに出逢えたことです。

自分とは全く違う環境で育ち、違う文化や言語を使って生きる彼らの話は、いつも私を惹きつけました。

それぞれが様々な理由でこのプログラムに参加し、自分らしいユニークな人生を生きる彼らの生き方に、とても感動し刺激を受けました。

みな同じ考古学を勉強したい、あるいはその職業に就きたい、という夢を持つ者同士で、ある人は実際に現在考古学を勉強していたり、ある人は一度その夢を諦めて就職し、やはり考古学の道に進みたいと願い大学に入りなおしたりなど、自分の夢を追い続ける彼らの姿はとても輝いていました。

私もこのプログラムに参加する前は、両親に「きちんと就職して働いて」と言われ、それも間違ってはいないのですが、やはり自分のやりたいことを貫きたいという思いがどこかにあり、ここに来てその思いがより一層強くなりました。

これから自分がどうなっていくかは分かりませんが、このインカ考古学プログラムで得たもの、学んだことを一生忘れずに、自分の夢に向かって少しずつ進んでいきたいです。

もっともっと関わりたい

今回インカ考古学プログラムに参加することで、もっと多くの国や文化を知りたいという思いも強くなり、プロジェクトアブロードのスタッフとしての活動にもとても興味があります。

これからはプロジェクトアブロードに参加してみたい、まだプロジェクトアブロードを知らないという人により知ってもらえるようにOBとして積極的に活動していきます。

ペルーで出逢った全ての人、そして出発から帰国までサポートして下さったプロジェクトアブロードのスタッフの方々、本当にありがとうございました。

また機会があれば、必ず参加させて頂きます。

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 ペルーでインカ考古学 藤原侑里

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。