我が道を行くと決めた大学三年の夏
大学三年生の夏休みは、なにをしようか。
多くの友達は就活のためのインターンシップをしていて、その中でも自分だけ訳の分からないアフリカに行く決断は、このプログラムを通して一番勇気が必要だったかもしれません。
もともとバックパッカーが趣味で、「夏休みにアフリカのどこかに行きたいな、でもそれなら自分のためになることはやってみたいな」そういった想いで、ネットで調べていたらプロジェクトアブロードと出会いました。
大学では経営学を勉強していたので、タンザニアのマイクロファイナンスと聞いたときは、直感で「ここしかない」と思ったのをはっきり覚えています。
世界に通用するスキル
現地での主な活動内容としては、経済的に厳しい立場に置かれている女性の方たちへの小さな融資、ローンの返済や簿記の管理、ビジネスとして自立するためのプレゼンテーション(数字の計算、簿記の管理、マーケティング、ケーススタディなど)をします。
基本的な流れとしては、朝9時にオフィスに向かい、準備をしてから女性のグループの村へ行く、そして昼に帰ってきて昼食を取ってから、午後には別のグループに行く、という感じです。
女性のグループでは、ローンの返済や簿記の管理などを手の空いている人が行い、他の人はプレゼンテーションをしていました。
その後は、時間があれば、グループ内の一人のビジネスを実際に見学させてもらいます。
私が担当したプレゼンテーションは、「負の数の計算」「PDCAサイクル」でした。
特に難しかったこととしては、単純な計算を教えることです。
これは、女性の中には教育をまともに受けてきてない人や、勉強したけど忘れてしまった人がたくさんいるからです。
正直、「単純な数学もできないで、どうやって自分のビジネスを管理しているの?」とイライラすることもありました。
それでも、なんとか工夫してうまく説明して、理解してもらった時はとても嬉しかったです。
普段、大学でそれなりにプレゼンテーションをこなしてきて、スタッフにも「いいプレゼンだった」と言われたことや、そのスキルが世界でも通用するとわかったことは、私にとって非常に大きな自信になりました。
また、私が積極的にスワヒリ語で挨拶しようとする姿勢や、頑張って教えようとする姿勢のおかげか、名前を覚えてくれたこともとても嬉しかったです。
全てが忘れられないタンザニア生活
生活面に関しては、オフィスのスタッフやホストファミリー、同じボランティアの仲間がとてもフレンドリーで親切だったので、全く困ることはありませんでした。
プロジェクトアブロードが安全なホストを提供してくれるので、安全面でも困りません。
食事面に関しても、米が基本だったので、日本人の私たちにとってはありがたいと思います。
ローカルフードのウガリやバナナ、チャパティなどとても美味しかったです。
むしろ、日本人の私よりも、欧米系の人たちの方が食事に苦しんでいたような気がします。
また、通勤でオフィスに向かう時は、ローカルバスの「ダラダラ」を使っていました。
日本でいうハイエースのような車で、朝のラッシュ時には20人弱詰め込みます。
いつもパンパンに人を詰め込んでいましたが、タンザニアにいるからか不思議と日本の満員電車より楽しい気がしました。
そして、普段の過ごし方もとても有意義なものでした。
仕事が終わってから、同じ家のボランティアの人と近くのローカルバーに飲みにいって語ったり、本物のサファリでアフリカの大自然に感動したり、週末にはザンジバルに行ってリラックスしたり、と全てが忘れられない思い出です。
何気ないことすべてに発見があった
プロジェクトアブロードを通して学んだことは、2つあります。
1つ目は、タンザニアだけでなく、色々な国の人と触れ合えて色々な文化を知れたことです。
様々なバックグラウンドを持った人との出会いが、私の経験値を豊かにしてくれました。
オフィスの方々との何気ない会話でも、日本との違いを大いに感じることができたし、スワヒリ語やタンザニアの文化についても知れて良かったです。
そして、現地の人に直接言われたことで、とても印象に残っていることがあります。
それは、「アフリカというイメージだけが先行していて悲しい。タンザニアは平和な国だし、もっともっと色々な人に知ってもらって色々な人に来て欲しんだ。」という言葉です。
実際、アルーシャは本当に平和で、着いてから数日でそれは感じていました。
でも、実際に現地の方にそれを言われた時は、胸に刺さったというか、感じるものが本当に大きかったです。
また、同じボランティアの仲間もヨーロッパからたくさん来ていて、その国ついてもたくさん知ることができました。
そして2つ目は、コミュニケーションを取ることの大切さです。
日本人は空気が読める人間だと言われますが、そんなことは世界では無意味です。
仕事でコミュニケーションをしっかり取らなかったがために、ミスをしてしまったことがありました。
それを通してコミュニケーションをとって、スタッフに確認することの大切さを学びました。
また、女性の方たちにプレゼンテーションをするにしても、信頼関係を築かないことには何も始まりませんでした。
初めて女性にプレゼンテーションをした時は、淡々と話しましたが、微妙そうな顔をしていました。
それからはグループに到着したらまず挨拶をして、何を言っているかわかりませんでしたが、スワヒリ語で会話をしてからプレゼンしました。
そうすると真剣にプレゼンを聞いてくれるようになり、最後には笑顔で「Asante sana(ありがとう)」と言ってくれました。
コミュニケーションを取らないことには信頼関係は築けないし、信頼関係がないことには価値あるものが生まれないと思います。
世界を知った経験を活かして
今回の経験を通して、世界について本当によく知れたと思います。
将来、私はどのようなことがしたいかは具体的には決まっていませんが、ぼんやりとは頭にあります。
一般的な企業への就職にしても海外と関わるような仕事はしたいし、今回のプロジェクトアブロードを通して、NGOや国際開発系の仕事も面白いなと思いました。
いずれにしても、世界と関わるような仕事がしたいという考えは、確かに自分の中にあります。
世界には様々な価値観を持った人が存在していて、それを受け入れないことには何も始まらないということを学びました。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。