高校一年生の夏休みというこの時

高校入学するまで海外のインターナショナルスクールに通っていて、ボランティア活動に積極的に参加することが多かったのですが、日本の高校では休みにボランティアをすることがあまりありません。

高校一年生の夏休みという思い切り好きなことができる最後の時間で、自分の将来につながることをしたいとずっと考えており、子供が大好きで、医療に携わりたいと考えている私にぴったりな公衆衛生のプログラムに参加することにしました。

カンボジアという国を選んだ理由は、日本からそれほど遠くなく比較的安全であり、友達もいて、また個人的にカンボジアの歴史と文化、料理に興味があったからです。

渡航前の心境

出発前は、カンボジアという初めて訪れる場所に胸を躍らせていました。

カンボジアの文化や歴史について調べたり、クメール語を少し勉強したり、以前通っていたインターナショナルスクールのカンボジア人の友達に連絡を取り、カンボジアについて少し話を聞いたりしました。

簡単な日常の挨拶、物価など、はじめての場所に訪れる際には、基本的な知識を知っておくことは大切だと思います。

取り組んだボランティア活動

公衆衛生のプログラムでは、主に小学校や幼稚園を訪問し、子供達のヘルスチェックをしたり、ご高齢の方の家庭を訪問をし、現地のインストラクターさんのもとで診察のお手伝いなどをしました。

子供のヘルスチェックでは、傷の手当て、耳そうじ、体温測定、頭髪、指先や爪を清潔にし、最後にビタミン剤を処方します。

大人の方は、血圧、血糖値、体温の測定、クメール語の話せる現地のお医者様を介しての問診をし、薬を処方し、最後に歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプーなどの生活用品を提供しました。

また、小学校にて子供たちと遊ぶ時間も設けられており、一緒に鬼ごっこをしたり、踊ったり、カンボジアの遊びを教えてもらったりしました。

子供たちに健康に関するプレゼンテーションを英語で行い、それを現地の方にクメール語に翻訳していただき、公衆衛生の大切さを伝えることもしました。

プレゼンテーションのトピックの一つとして歯磨きや手洗いに関するものでは、子供達と一緒に実践もしました。

これ以外に、病院訪問の機会もあり、カンボジアの国立病院の実態も少しですが知ることができました。

現地の方のワークショップでは、カンボジアの現状を統計で見て、今後の発展についての討論もしました。

元々予定には入っていなかったHome of hopeという障害者やホームレス、病気などで身寄りのない方が集められて生活している施設にもお願いして、訪問させていただくことができました。

個人的には、一番心に残った経験となりました。

山あり谷あり、すべて経験

炎天下でのヘルスチェックは、体力的な面できつかったです。

ただ、その苦労に勝る達成感があり、本当にやりがいのある経験ができました。

また、小学校のトイレ掃除をひたすら行った日は気分が悪くなり少し大変でしたが、みんなで一生懸命掃除した後は気持ちよかったです。

初めの数日間は頭痛に悩まされましたが、気候に慣れてくると、むしろ日本より過ごしやすいのではないかと思うほどでした。

思い返してみると、苦痛だったことはあまりなかったかもしれません。

だからと言って、決して楽ではありませんでした。

クメール語という言語の壁はあったものの、子供たちとのコミュニケーションはジェスチャーで、大人の方とは現地の方の翻訳で通じました。

特に、子供達とのコミュニケーションは、日本人同士日本語で会話する時よりも心から対話できた気がしました。

子供達はとっても人懐こく、二週間の終わりには私の名前を覚えて呼んでくれた時は、少し感動さえも覚えました。

しかしやはり、クメール語を習得していればもっと通じ合えたのかもしれないと思うと、もっと勉強していればと後悔の念もあります。

衝撃からの誓い

公衆衛生に関する出来事としては、Home of hope の訪問が最も印象深く、心に刺さりました。

日本の障害者施設では、清潔で安全な施設で資格を持ったスタッフが障害者の生活を助けるのに対し、カンボジアの現状はひどいものでした。

熱意のあるスタッフでも、知識不足のため、障害者や病人の正しい扱い方がわかっておらず、床に直に人を寝転がしたりと、ショックな光景が続きました。

しかし、あまり恵まれた環境とは言えない中でも、そこで出会ったダウン症の6歳の男の子はとっても穏やかで心優しく、また臓器の障害により言葉を話せず、身長は幼稚園生ほどしかない私と同い年の16歳の男の子は、施設に入るや否や手を掴んで離しませんでした。

言葉を話せない彼は、何かを伝えたかったのかもしれません。

約40年前に起こってしまったクメールルージュという悲劇により、何もかもが0に戻ってしまったカンボジアは、プノンペンという大都市のほんの限られた一握りの人たちは私たちと同じような不足のない生活を送っていますが、まだまだ貧困の中にあります。

訪問した学校の教室は古く汚れており、トイレに至っては子供達は外でする方がマシだと主張するほど不衛生で、校庭では子供達の出したお菓子袋のゴミを燃やしているため、空気が淀んでいました。

驚くべきことに、病院の敷地内でもゴミを燃やしていて、これでは本末転倒じゃないかと思いました。

まだ、カンボジアのほんの一面しか見ていませんが、改善する余地はあると感じました。

ただ資金の問題があまりにも大きく、実行に移せないということです。

何か、少しでもいいので将来、カンボジアをはじめとする発展途上国の支援をしたいと心に誓いました。

どの瞬間も学習の機会

公衆衛生の活動以外にも、週末には観光の機会にも恵まれ、Siem Reapでは、アンコールワットをはじめとする遺跡群を巡ることもできました。

また夜には、ナイトマーケットでお買い物する時間も設けられました。

またKilling Fieldというクメールルージュについての映画を鑑賞し、実際に戦争の行われた跡地や博物館を見学することもできました。

カンボジア生活

滞在先の首都プノンペンにあるMidland Hotelは、基本的には必要最低限のものは揃っていました。

アメリカ人のルームメイトとは英語での会話でしたが、お互いの将来の夢であったり、家族の話であったり、たくさんの話ができ、たった2週間しか一緒にいなかったにもかかわらず、学校のクラスメイトよりも深く関われたと思います。

お互い帰国した今も連絡を取り合っています。

ホテルの食事は、私は美味しくいただけました。

脂っこいものや味の濃いものが続くと胃が疲れました が、そういう時を想定して日本から軽食を持って行ったのは正解でした。

カンボジアはカレーをよく食べると聞いていましたが、アモックという伝統料理は本当に美味しかったです。

ちなみに、タランチュラもいただきました。

驚いたこととしては、トイレにトイレットペーパーを流してはいけないことです。

下水の処理があまりされていないのか、メコン川は驚くほど淀んでいて悲しくなりました。

もちろん水道水は飲んではいけません。

本当にやりたいことを見つけた夏

2週間のプログラムを終えて、精神面で成長することができたと思います。

本やテレビなどの媒体を通してしか知らなかった発展途上国の現状を自分の肌で、身を以て実感することができたことは、自分の将来像をより明確にすることにつながり、またこれからの大学受験へのモチベーションにもつながりました。

自分が将来本当にやりたいことを見つけることができたこのプログラムに参加させてくれた両親に、本当に感謝しています。

今後、ここでの経験を忘れず、発展途上国の現状から目をそらすことなく、少しでも支援につながる活動に参加していきたいと心から思います。

カンボジアは発展途上国だから可哀想、そんなふうに考えていました。

しかし行ってみると、悲惨な光景に驚くことも多々ありましたが、それ以上に、恵まれているとは到底言い難い環境の中でも毎日笑顔と優しさいっぱい溢れる子供達の姿を見て、幸せすら感じました。

カンボジアの衛生面、教育面、障害者への偏見や差別、政治的システム、そして貧富の差、これらへの指導と支援が足りていないと思います。

少しでも多くの人に、今の自分の生活に満足できず無駄遣いしてしまう人に、この体験談が何かを伝え、協力しようという気持ちにすることができたのなら幸いです。

これから参加する高校生へ

もし、まだ行こうか行くまいか迷っているのであれば、私は行く価値があると断言します。

メディアを通して知っているつもりのことも、現地に行って自分の目で確かめると、全く違った一面が見えてくることもあると思います。

2週間という短い期間しか体験していない私が知ったようなことを言うのは違うと思いますが、それでもたった2週間でも行くのと行かなかったのとでは、全く違ったはずです。

プログラム詳細へ

体験談一覧へ

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。