後悔の無い人生を歩むと決めた
私は、小学生の頃にアフリカの発展途上国のことを知り、いつかそういった国へ行き、困っている人を助けたいという漠然とした思いがありました。
それが、看護師という職業に就いた現在、看護師のスキルを活かして活動したいという思いに変わりました。
そんな時にインターネットで検索していたところ、たまたまプロジェクトアブロードを見つけ、これだ!と思いました。
20代も終わりに近づいていた為、今チャレンジしてみた方が後悔の無い人生が送れるのではないかと考えたのです。
プロジェクトアブロードの日本のオフィスが自宅から近かったので、活動内容や現地での生活など実際の話を聞きに行きました。
そして、今後のことを踏まえて半年程考えた結果、せっかく行くなら長期間の方が学びになると思ったので、思い切って6年間働いた大学病院を退職し、8週間の参加を決めました。
なぜ、公衆衛生活動か
私は、地域社会で活動ができるアウトリーチに興味がありました。
その理由として、対象者にもっと近いところで看護をしたいという思いや、その人から聞いた情報だけではなく、実際にその人が暮らしている場所へ足を運び、現状を自分の目で確かめた上で看護介入を考え、実践をしたいという思いがありました。
また、私は色んな国の生活や文化、歴史や宗教などを旅を通して学ぶことが好きだったので、公衆衛生プログラムなら、様々な場所で多くの経験を積むことができ、色々な人との出会いがあると思い選びました。
点が線になったアウトリーチ活動
たくさんの小学校で子供たちの傷やリングワームの処置、健康教育を行ったり、先生たちの血圧測定やBMIチェックを行いました。
多くのガーナの学校には保健の先生がおらず、私たちはその代わりを担うような役割でした。
同様なことを、ドドワにある2ヶ所の子供の施設でも行いました。
また、たくさんのコミュニティにも行き、小学校で行っていたことに加え、マラリアやB型肝炎、梅毒のテストも行いました。
これらの中には、大きな傷で経過を追いたい人や、高血圧で病院受診の指導をした人など、フォローアップが必要な人がいるので、その人たちが居る学校やコミュニティには何度か訪問し、現状確認をしていました。
傷がだんだん良くなるのがわかったり、しっかりと病院を受診し、内服治療により血圧が安定した人がいたりと、長期間活動出来たことで、多くの人の経過を追うことができました。
そして、コミュニティごとに環境や生活、文化などが異なり、傷の種類や疾患にも特徴がありました。
私は、その理由を自分で考えたり、疑問に思ったことを現地スタッフに質問したり、他のボランティアと共有したりしていました。
そのおかげで、点で考えていたことが、だんだんと線になって繋がっていったことで、アウトリーチの面白さを得られたと思っています。
ガーナでの暮らし
私のホストファミリーは笑顔で私を迎え入れてくれ、また3匹の犬も飛びついて歓迎してくれました。
みんなとても優しく、何でも教えてくれ、いつも私のことを心配してくれたり、楽しませてくれました。
最初の1ヶ月は異国の地に日本人1人でしたが、とても安心できました。
休日には、他のボランティアと一緒に旅行に行くなどして、リフレッシュしたり、ガーナの大自然を満喫したり、歴史を学び、楽しんでいました。
ガーナの食事は、スープ料理が多く、ヤムやキャッサバ、プランティンなどが主食として多く出て来ましたが、米もあり、日本人の私としてはとても助かりました。
活動後には近所を散歩し、たくさんの子どもたちと一緒に遊んでいました。ガーナの子どもたちは本当に人懐っこく、いつも笑顔ですぐに声を掛けて来てくれて、ハイタッチや握手は当たり前です。
私は、たくさんの現地の人と仲良くなり、ついには近所の子どもたちの子守りを頼まれるまで成長し、嬉しかったです。
苦労の先に待っていたもの
1番苦労したのは、英語でのコミュニケーションです。
ホストファミリーや現地スタッフが話しているのが、現地語なのか英語なのか、よくわからない日々や、他国のボランティアの話している内容がわからないことがよくありました。
話すスピードも早く、カジュアルな英語の使い方をするので、何回も聞き直したり、瞬時に答えられなかったり、考えが上手く伝わらなかったりする場面も多く、何も考えていないと思われているのではないかと感じることもありました。
直接的に人に関わる活動なので、英語がわからないことで相手や自分が危険な思いをすることは良くない為、わからないことがあったらすぐに質問するようにしていました。
そんな私を、現地スタッフの方々はいつも気にかけてくれていました。
3週間くらいして、ようやく耳が慣れてきたので、色んな人と話す機会を増やしました。
また、英語が上手く話せないことを予め相手に伝えることで、初めから簡単な英語にしてくれてとても助かりました。
しかし、コミュニティに行くと、英語が話せない人も多く居ました。現地スタッフが翻訳してくれていましたが、他の場所で説明をしている時など手が離せない場合があります。
私は現地語を話せないので、英語を話せる現地の人を巻き込んで、現地語で翻訳してもらえば良いのかと思いました。
そうしたことで、スムーズに対応できるようになり、コミュニケーションとは何か改めて考える機会にもなりました。
実体験から学んだ大切なこと
私は日本で看護師をしていたので、活動中に次に何をすべきかなんとなく予測できることがありました。
英語のことばかりが頭にあり、今まで自分のマイナスな面ばかり見ていましたが、日本で培った看護師としてのスキルは、今回の活動で強みになったと思っています。
周りを見ながら処置やその補助の必要性を考え実施したり、マラリアテストが怖くて泣きわめく子どもをあやしたりなど、積極的に動いている自分がいました。
時には、処置時に他のボランティアへのコーチ的な役割を持たせてもらえることもありました。まともにできなかった対象者への声掛けも、少しずつできるようになって行ったのを感じました。
しかし、対象者への詳しい説明やアドバイスなど、実際にはほとんど出来ませんでした。
また、子供たちへの健康教育の時も、他国のボランティアがやっているのを見ていることしかできず、指導方法としては勉強になりましたが、とても悔しい思いをしました。
この経験から、今の自分に足りないことは何なのか、考える機会を持つことができ、もっと英語を勉強したいと思えました。
また、今回の活動で、言葉以外のコミュニケーションはたくさんあるということを改めて感じました。
表情や行動などから相手の気持ちを汲み取ったり、自分が相手を見て感じたことを、自分の言葉や表情、ジェスチャーなどで相手に伝えることで、相手も理解しようとしてくれて、より対象者に近づけると感じました。
言葉以外のコミュニケーションスキルは、これからの看護活動にとても役に立つと思ったと同時に、国や生活や文化などが異なっても、看護師としてやらなければならないことは同じであると感じました。
そして、色んなバックグラウンドを持つボランティアと一緒に活動出来たことで、日本では見えていなかった、自分の良いところや悪いところを改めて考える機会となったり、乳児から高齢者まで関わることができ、自分がどんな看護に興味があるのか改めて考える機会にもなったと思います。
更に、同じプログラムには色んな国からのボランティアがおり、皆それぞれ目的は違っています。
今回自分がどのような目的を持って参加しているのか、自分の学びたいことややってみたいことができるように積極的に参加することや、気持ちがブレないようにすることが大切だと思いました。
また、様々なボランティアがいるので、人と比べがちですが、自分の役割を把握し、小さなことでも良いので、出来ないことばかりではなく、出来ること、出来たこと、出来るようになったことにも目を向けて活動することが大切だと思いました。
今後へのアクションプラン
今後は、この経験を生かし、この後に予定している語学留学で英語力を磨き、国際協力の場で活躍できたら良いと思っています。
また、自分の体験したことを、まだ知らない人に伝え、興味を持ってもらえることができたら良いと思います。
今回、日本では出来ない素晴らしい経験を積むことができ、サポートして下さったプロジェクトアブロードの方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。