情熱を燃やすために
プロジェクトアブロードを見つけたきっかけは、「インターン 法律」でググったことでした。
法学部に在籍し、法律家を志していましたが、確固たる情熱があったわけではありませんでした。
どうしたら情熱が生まれるんだろうと悩んでいました。
法律界のことをいろいろ調べたり、弁護士の先生方にお話を伺ったりしましたが、効果はいまひとつでした。
そこで、ならば実務経験を積んでみようと考えました。
どうせならば、面白そうなとこでやりたい。
というか、日本でそんなものあるのだろうか。
それで試みにググってみたところ、海外法律インターンという何とも面白そうなものを発見。
それが出会いでした。
プロジェクトアブロードの提供する法律プログラムは、人権問題関連のものが多い。
スタッフの方に南アフリカを進められ、「虹の国」への漠然とした羨望も後押しし、南アフリカに決定しました。
充実してた南アフリカでの日々
現地では、Human Rights Officeという人権事務所でインターンをしました。
仕事内容は、南アフリカの難民の方々のコンサルタントが主で、ほかにも少年犯罪者むけのワークショップ企画などにも携わりました。
最初はすべてが手探りでしたが、日に日に英語と法律に慣れていき、友人も増えていき、1ヶ月も経つころにはオフィスと同僚が大好きになっていました。
自分と向き合う貴重な機会
この経験で人生がこう変わった!なんて大それたことは言えないのですが、感じたことはたくさんあります。
南アフリカには、当然日本の友達なんていないし、家族もいない。
現地では、ホストファミリーが家族、各国から集まったボランティアのみんながともだち。
なかでも一緒に住んでいたボランティアは、兄弟みたいでした。
そんな環境で2ヶ月、そこにいた自分は、まったく新しい自分でした。
もちろん、僕の中から過去を消し去ることはできません。
それは僕の一番大事な構成要素のはずです。
僕が日本でいっしょに生きている人たちは、みんな何かしら僕と共有する過去を持っています。当然のことです。
でも、これまた当然のことですが、南アフリカにはそれが全くない。
そこでの人生は、まさに新しい人生でした。
過去に縛られず、まるで何らの過去を持たない赤ん坊として再び誕生するように、0からの人生があります。
これは僕にとって、初めての実体験でした。
だから、インターンとしていろんなことを学ぶだけではなく、自分と向き合う貴重な機会にもなりました。
価値観を動かされた経験
オフィスで学んだことで一番自分に残っているのは、「難民の人っておかしな人(strange people)なんじゃなくて、おかしな状況にいる人(people in strange situation)なんだよ。みんなと一緒の人間だよ」ってことです。
そんな当然のこと、って思うけど、これを心に深く落としこんで自分の中で空気のようにあたり前にする、それは結構難しいです。
少なくとも僕にとっては難しかった。
クライアントの方、難民の方やまだ難民資格を得ていない亡命志願者の方なのですが、そんな方々と会ってお話しているとき、上のことが常識化されていないと、どこかバイアスをかかった会話になってしまいます。
自然に会話しているつもりでも、不快感が相手の表情に浮かぶことがあります。
たとえば、難民であるという特殊性に関連した話題「しか」振らないこと。
もちろんカウンセリング中はそうなりますが、カウンセリング外でも気付くとそんな話ばかりしてしまったりします。
それがおかしくて失礼なことだと考えればすぐわかるのですが、無意識的にそうしてしまう。
それは自分の従前に持っていた価値観が勝手に作用しているんです。
一度や二度の反省では、偏見を捨て切ることはできていません。
価値観がきれいに変わるには、わりと時間がかかるみたいで、逆説的ですが、僕はずっと意識的に自然に話そうと努力していました。
価値観を必要にかられて必死に動かしたのは、初めての経験でした。
時間に対する考え方
文化の話もひとつ紹介します。「アフリカン・タイム」というものがあって、遅刻をしたりだとか、時間にルーズなことを表します。
日本で生活していると、時間の拘束力が強いと思います。
たとえば大学生でも、インターンなどをしていたら、既定の時間に5分でも遅刻しようものなら大問題です。
すぐに先方に連絡して、謝罪やら言い訳やらをせねばなりません。
しかし、アフリカにはそのような文化はありません。
良い悪いはさて置いて、例えば僕がクライアントに「11時に事務所まで来てください」とお願いすると、その方が全く悪びれる風もなく12時などに現れたり。
僕も最初は動揺して、「11時のお約束でしたよね?」などと確認しましたが、すると彼は「そうだね」と。
まるで、「それがなにか問題でも?」とでも言い出さんばかりの雰囲気で応えてくれます。
なるほど、これは常識が根本から違っているのだな、と。
現地のアドバイザーの方は、これをアフリカン・タイムと呼んでいました。
南アフリカで「in a few minutes」と言われたら、それは五分後を意味したり、30分後を意味したり、1時間後を意味したりします。
つまり結局はいつかわからないということです。
生活していると、時間の拘束力が非常に弱いことを実感しました。
時間にたいする感覚は、ほかいろんなことにも波及し、まったく日本と異なる文化をなしていました。
ちなみに、僕はルーズなので、南アフリカのほうが生きやすかっただろうなと思っています。
プロジェクトアブロードで本当に良かった
プロジェクトアブロードの魅力を間違いなく伝えきれていないので、もう少しだけ書きます。
プロジェクトアブロードの魅力は、本格的なインターンができること、いろんな国からのいろんな世代のボランティアと出会えること、この二つが大きいと思いました。
法律実務家の仕事がどんなものか実感を持てましたし、難しい実務をこなしたんだという自信にもつながりました。
また、僕の事務所にはボランティアとして、下は17歳から上は38歳、高校卒業したばかりの子からバリバリの現役弁護士が、イギリスをはじめ欧米各国はもちろん、インドなどのインターンもたくさん来ていました。
いまや、世界中に友達ができてしまったような感覚です。
それも、同じ法曹という志を持った友達が。
これらの出会いが、たった2ヶ月のインターン生活をかけがえのない貴重な経験にしてくれました。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。