長い夏休みに何か特別なことを

私は、カンボジアの公衆衛⽣プログラムに参加しました。

学校に掲⽰されていたポスターを⾒て、Projects Abroadの存在を知ったことが参加のきっかけでした。

⾼校⽣になり、⻑い夏休みを使って何か特別なことをしたいなと思っていたので、参加を決めました。

カンボジアという舞台

カンボジアを選んだ理由は、⽇本から⽐較的近く、⽇本⼈の参加も多いと聞き、安⼼感があると感じたからです。

ほとんど海外渡航経験が無い私にとって、カンボジアへの直⾏便があったことも決め⼿になりました。

また、約40年前に起きたポル・ポト政権による⼤量虐殺の話を聞いたことがあったので、その様⼦が伺える Killing Field を訪れることにも興味を持ちました。      

見失った軸を見極めたい

公衆衛⽣プログラムを選んだ理由は、⾃分の将来の夢を確実なものにするためです。

私は、中学⽣までは新薬開発をしたいと考えていました。

ですが、最近医学にも興味を持ち始め、将来⾃分が何をしたいのかを⾒失ってしまいました。

そこで、実際に医療に携わることで⾃分の本当にやりたいことを⾒つけたいと思い、参加を決めました。      

医療に深く携わるためには、医療プログラムを選んだ⽅が良いか悩みました。

ですが、医療プログラムではなく公衆衛⽣プログラムを選んだ理由は、現地の⼈々とより触れ合いたいと思ったからです。

このプログラムでは、地域各所に出向いて活動を⾏うと聞いていたので、現地の⼈々の現状を⾒ることができるのではないかと思ったのです。

また⼩さい⼦供が好きなので、⼩学校や幼稚園での活動にも興味があり、公衆衛⽣プログラムでの参加を決めま した。

最善を尽くした渡航準備

渡航前は、早く渡航⽇にならないかなと思うほど活動を楽しみにしていました。

カンボジアという異国の地で、どんな活動ができるかワクワクしていました。

また、このプログラムが⾃分の将来を決めるターニングポイントになると思っていたので、楽しみにする思いがさらに強まりました。

活動をより充実させるためにも、リスニング⼒を上げるために通学時間を使ってリスニングをしたり、My Projects Abroadからダウンロードできる資料を読み込み、プログラムの⻑期⽬標・⾼校⽣ボランティアに求められることなどをしっかり把握したりしました。

その⼀⽅で、不安もありました。

海外へ⼀⼈で渡航するのは初めてだったので、ビザの取り⽅が特に不安要素でした。

ですが、My Projects Abroadが⾮常に役に⽴ちました。

些細な不安要素もProjects Abroadの⽇本⼈スタッフさんに聞いたり、My Projects Abroadを参照したりすることで、ほとんどが解消されました。 

夢の舞台の幕開け

現地に到着して最初の活動は、⼩学校でのプレゼンテーションでした。

デング熱、腸チフス、やけどしたときの対処法、⽝に噛まれたときの対処法と計4つのテーマについて、プレゼンテーションをしました。

デング熱と腸チフスについては、定義・原因・感染したときの対処法・予防法といった内容をポスターに書きました。

⼦どもたちに興味を持ってもらうため、できるだけカラフルにして、イラストをたくさん⼊れることを⼼がけました。

やけど・⽝に噛まれたときの対処法については、対処法を順序⽴てて説明した後、実際に⼦どもたちに医師役と患者役を演じてもらい、理解を深めました。  

⼦どもたちはクメール語を話すので、簡単な英語しか通じませんでした。

そのため、"Dengue fever"や"Typhoid fever"といった重要な単語だけ、⾃分が単語を⾔った後に⼦どもたちにリピートしてもらうというやり⽅で英語で教えました。

プレゼンテーションの内容は、英語で説明したものを現地のスタッフの⽅に通訳してもらっていました。

小学校での活動の柱     

⼩学校にいる間に、⼤きく分けて3つ⼦どもたちと活動しました。

1つ⽬は、⼿の洗い⽅のレクチャーです。

公衆衛⽣プログラムのグループが担当していたのは Grade 5と6だったので、⼿の洗い⽅を既に知っている⼈が多く、確認するといった感じでした。

ですが、多くの⼦どもたちの⽖は⿊くなっていて、⼿洗いの⼤切さを教える必要があると感じました。

2つ⽬は、校庭のゴミ拾いです。

⼦どもたちは休み時間に学校近くの売店でお菓⼦やジュースを買っていて、そのゴミが校庭にそのままにされていました。

それを⼦どもたちと拾うことで、衛⽣的にすることの⼤切さを伝えました。

3つ⽬は、⼦どもたちの簡単な健康チェックです。

やけどなどの傷跡に絆創膏を貼ったり、⽖を切ったり、⽿や⻭が清潔に保たれているか確認したり、体温を測ったりしました。

37.5度までは平熱とみなしたり、切りすぎなのではないかと思ってしまうほど⽖をかなり短くしたりと、⽇本とは環境が違うので、基準も⼤きく異なり、驚きました。     

地域住民への公衆衛生活動

2週⽬に⼊った頃から、現地の⼈々の⾎圧と⾎糖値を測る活動をしました。

医師の現地スタッフの⽅からレクチャーしてもらい、最初の⽇は⼩学校の先⽣の⾎圧・⾎糖値測定を⾏いました。

はじめは、グループでの連携がうまく取れずドタバタしてしまいました。

しかし、2⼈1組で連携することで、スムーズに測定できるようになりました。     

その後は、⼩学校周辺の現地の⽅々やシルクアイランドといういつも活動してる島とは別の島の⽅々を訪問して、測定しました。

想像していたよりも⾼⾎圧の⼈や糖尿病の⼈が多く、塩⾟いものや⽢いものを多く⾷べる⾷⽣活が関係しているのではないかと感じました。

また、⽩内障の⼈も多かったです。

⽩内障は、⽇常⽣活に⽀障をきたすはずなのに、そのままにしておいてる⼈が多いことに驚きました。

さらに、シルクアイランドを訪れたときには、機織りの影響で肩に違和感を覚えている⽅たちもいました。      

活動締めくくりの大きな学び

活動最終⽇には、通年プログラムのインターンの⽅たちと⼀緒に、さらに内容の濃い活動をしました。

私たち⾼校⽣が⾎圧・⾎糖値を測り、現地スタッフの⽅が患者さんに症状を聞き、それに基づいて通年プログラムの⽅が現地スタッフの助⾔のもと薬を処⽅するといった流れでした。

また、私たち⾼校⽣は⾎圧・⾎糖値を測るだけでなく、どのような症状か・どんな薬を処⽅したかといった内容を紙に書き留めることもしました。

これにより理解がさらに深まり、私にとっては難しく苦戦しましたが、得るものがとても多かったです。

カンボジア生活

滞在先のホテルはとても清潔で、過ごしやすかったです。

活動先への交通アクセスも良く、とても便利でした。

2⼈1部屋か3⼈1部屋で、私は2⼈部屋で、同じ公衆衛⽣プログラムの⽇本⼈のボランティアと同部屋でした。

同じ国籍ということもあり、プログラム中に分からなかったことなどをホテルに帰ってから聞くことができました。      

ホテルの⾷事は、バイキング形式でした。

朝⾷は、ほとんどホテルでとりました。

チャーハンや焼きそばのようなものなど、⽇本ととても似たものもありました。

⽇本⼈にとっては少し味付けが濃いように感じるかもしれませんが、パンやシリアルも置いてあり、私はホテルの朝⾷に関して困ることはありませんでした。

⼣⾷は、外出して⾷べることが多かったです。

パスタやピザといった洋⾷や、クメール料理を⾷べることもありました。     

洗濯は、すべて⼿洗いで済ませました。

ランドリーを使うこともできましたが、⼿洗いで充分間に合ったので、利⽤しませんでした。

トイレにトイレットペーパーを流せないことが最初は抵抗がありましたが、慣れてしまえばあまり問題ありませんでした。

小学校のゴミの山の衝撃

印象に残っていることはたくさんありますが、衝撃的だったのは、⼩学校のゴミの⼭を⾒たことです。 

⼦どもたちと校庭のごみ拾いをしていたときのことでした。

ゴミを集め終わったあと、⼦どもたちにどこに捨てるのかを聞いたら、「ついて来て」と⾔われました。

3分ほど歩いたところで、⼦どもたちに連れていかれたところは、⼤きなゴミの⼭でした。

今まで⾒たことのない光景にあ然とさせられている私を差し置いて、⼦どもたちは平然とサンダルのままゴミの上を歩き、集めたゴミをそこに捨てていました。

私は何も⾔葉が出ず、その場に⽴ちすくんでしまいました。

はじめて⼩学校を訪れたとき、とても⽴派な校舎に驚き、私が勝⼿に想像していたものとは⼤きく異なったことを覚えています。

ですが、この校舎の裏にそんなものがあるとは思いもよりませんでした。

衛⽣状況の悪さにかなりショックを受けました。

確かに、実際に私が⾒たようなゴミの⼭が不衛⽣で問題になっているといったニュースを⾒たことがありました。

ですが、実際に⽬の当たりにすると、ものすごく現実味を帯びて⾃分にのしかかってきまし た。

これと同時に、この状況を変えたいという思いも芽⽣えました。

英語環境に身を置いて

英語でのコミュニケーションにおいて、かなり苦労しました。

まず、現地のスタッフさんとのコミュニケーションです。

現地のスタッフさんは、英語が⺟語ではないので、学校で習う発⾳やアクセントとは違う話し⽅をすることがあり、はじめは聞き取るのにかなり苦戦しました。

ですが、⽇が経つごとにだんだん慣れて、聞き取れるようになりました。

また、他の国籍のボランティアの⽅々は、英語を流暢に話す⼈ばかりだったので、私にとってはスピードが早く、聞き取るのがとても難しかったです。

最初は、聞き返すと会話のテンポを乱してしまうので、なかなかできませんでした。

ですが、ボランティアのメンバーはみんな優しく、聞き返しても親切に答えてくれて、コミュニケーションすることができました。      

自分の目で見て学び、得た成長

この経験を通して学んだことは、数え切れないほどあります。

ですが、特に⾃分に影響すると感じたのは3つあります。

1つ⽬は、英語でコミュニケーションを取ることの楽しさです。

今まで学校で勉強してきた英語を、はじめて実践的に使いました。

まだ⾃分の英語がつたなく、もどかしいときもありましたが、伝わったときには嬉しかったです。

また、英語を介して現地のスタッフの⽅、他の国籍のボランティアのメンバーと関わることができて、⾃分の視野が広がりました。

簡単な英語なら、現地の⽅々や⼦どもたちともコミュニケーションが取れました。

英語を話すだけでここまで世界が広がるからこそ、⾃分の英語⼒の無さに悔しさを感じることもありましたが、これからのモチベーションに繋がりました。

普段から初対⾯の⼈には、⼀歩引いて控えめになりがちな私ですが、英語で話すということを通して、少し積極性を⾝につけることができたと思います。

そしてカンボジアで活動できたことで、様々な経験をして⾃分に⾃信を持てるようになりました。

ボランティアメンバーも、現地スタッフさんも、現地の⼦どもたちも、私を認めてくれて、受け⼊れてくれて、とても嬉しさを感じたと同時に⾃信に繋がりました。 

2つ⽬は、発展途上国の現状を⾃分の⽬で⾒ることができたことです。

2週間という短い滞在期間であったのにも関わらず、⾚ちゃんを抱えた⼩さな男の⼦や、⽬の⾒えていないおばあさんが物乞いをしているのを⾒ました。

その場では⾃分は何もできず、とてももどかしく感じたことを覚えています。

⼩学校のゴミの⼭を⽬の当たりにしたり、⽇本では考えられないほどの交通量と排気ガスで空気が汚かったりといったことも経験しました。

全て教科書やテレビといったところで⾒たことはありましたが、正直実感が湧かず、他⼈事のように思っていました。

ですが、実際に⾃分の⽬で⾒てみると感じるものが違いました。

その状況を⾃分が変えたい、⾃分がもっと良くしたいという思いが強まり、他⼈事ではなくなりました。

3つ⽬は、医療の重要性です。

公衆衛⽣プログラムに参加して、病院を訪問したとき、たくさんの⼈が列をなして並んでいたり、廊下に座り込んでまで待っていたりしていて、ここまで多くの⼈が医療を必要としているのかと考えさせられるほどでした。

最終⽇の活動で、現地の医師免許を持つスタッフの⽅が処⽅箋を渡すときに、患者さんが笑顔を⾒せていることも印象的でした。

さらに、⽇本では治している⼈が多い⽩内障や⽣活習慣病を治さずそのままにしている⼈が多い現実も知りました。

医療がいかに⼤切で、重要で、必要とされているか考えさせられた2週間でした。

必ず実現させたいことができた

これから、必ずやりたいと思っていることは⼤きく分けて3つあります。

1つ⽬は、⾼校⽣の間に⾃分の将来やりたいことを明確に決めることです。

このプログラムに参加した理由 ー それは⾃分の将来の夢を決めることでした。

しかし、実際に2週間の活動を終えて、⾃分の夢を決めることはできませんでした。

ですが、これは失敗ではありません。

⼤きな成功でした。

なぜなら、2週間を通して将来のビジョンをたくさん描くことができたからです。

例えば、⽇本で医師として働く、海外で医師として働く、病気の原因を解明する研究をする、新薬の研究をする、僻地に医療を届ける⼈になる、発展途上国の発展を⽀援する⼈になるといったようにです。

いずれにしろ、医療に携わりたいという思いは強固なものになりましたが、こんなに⾃分の将来の選択肢が広がっているんだと⾔うことを知り、とてもワクワクしました。

だからこそ、本当にやりたいことを⾒つけて、⾃分の将来を切り拓いていきたいです。

2つ⽬は、英語⼒の向上です。

周りはみんな私より英語が話せて、⾃分の英語⼒の無さに落胆してしまうことが多くありました。

その悔しさをバネにして、学校の勉強だけでなく⾃主的に様々なことに挑戦して、英語⼒を磨いていきたいと思います。

3つ⽬は、発展途上国への⽀援です。

現地の⼩学校を訪れたとき、⼦どもたちの将来の夢をきいたとき、先⽣や医師、警察官など素敵な夢を笑顔で話しているのが印象的でした。

しかし現状としては、⼦どもたちは夢を叶えるための教育を充分に受けられていないと感じました。

私は、発展途上国の⽀援をすることは、恵まれた環境で⽣活できている私たちの使命だと思っています。

⼦どもたちの素敵な笑顔を守るためにも、⽀援活動に積極的に取り組んでいきたいと思いました。

さいごに

ボランティア活動は、想像していた何倍も楽しくて、充実していて、⾊々なことを⾒て、感じて、学んだ2週間でした。

医療へ携わりたいという思い、発展途上国の⽀援をしたいという思いがとても強くなりました。

実際に⾏くことでしか味わえない体験は、私の⼈⽣においてかけがえのないものになりました。

こんな経験をすることができたのは、私の⼒だけではありません。

私の周りの⼈が⽀えてくれたおかげだと思っています。

私の背中を押して快く送り出してくれた家族、⼀緒に活動して私の視野を広げてくれたボランティアのメンバー、私の憧れの存在となった現地スタッフの⽅々、学校に訪れるといつも素敵な笑顔を⾒せてくれた⼦どもたちなど、私を⽀えてくれたすべての⼈に感謝したいと思います。

本当にありがとうございました。

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この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。