渡航までの経緯

私はアルゼンチンのコルドバ市にあるEl Vagonという場所で、約2ヶ月半チャイルドケアの活動に参加しました。

もともと子どもと関わることが好きだったということ、この活動には免許や特別な資格が求められていないという良い意味での手軽さなどから、チャイルドケアの活動を選びました。

申し込む前は、オフィスで体験談を聞きに行ったり、スタッフの方と何度もメールでのやりとりをしたりしました。自分の知らない国、文化、言葉のある場所で2ヶ月半というそれほど長くない期間とはいえ、不安があったからです。

前準備はとても大切だと思います。またアルゼンチンのオフィスには日本語が話せるスタッフはいないので、疑問や少しでも気になることがあるのであれば、渡航前にスッキリさせておくことをオススメします。

ですが、心配し過ぎも良くない。というのもやはり実際に行って、感じて、考えるという段階を通して自分の経験にするのが期間関係なく一番自分に響くものだと思います。

小さな喜びを感じた日々

チャイルドケアの活動が一番人気がある、また特別な資格が不要であるということで言ってしまえば一番 "カンタン" であると何度も聞いていましたが、やはり地球の裏側にある日本とかけはなれた文化をもつアルゼンチンという国、さらにその中のEl Vagonというコミュニティでの生活は想像していたより大変でした。

わたしの活動先、El Vagonは5歳までの子供たちが9時から13時までの間遊んだり、ご飯を食べたりして過ごす場所です。

1日4時間だけとはいえ、子供たちはエネルギーにあふれ、また様々な性格を持つ子供たちが来ます。

私の思う子供たちと関わることの楽しみは、短い期間であっても彼らの成長をこの目で見られること、肌で感じることができるという点です。

ハサミの使い方を知らなかった子が、自分で紙を切ることの楽しさを知った瞬間の笑顔、お母さんと離れるときに泣いていた子が、泣かずに寂しさを我慢してはいるものの誰か大人のそばにいたがる可愛い様子が見れたりと、日々その様子は異なります。その変化に気づいてあげることが、彼らの喜びにもつながるのです。

私はボランティアといえども、そこで働く女性たちと同じ責任を持ちました。カギの管理、子供に注意を促すこと、あやすことなど様々ですが、「ボランティアだから」などといったものはどこにもありませんでした。

また一緒に働く人はすべて女性で、所長、料理をする人、子供のケアをする人、掃除をする人など分かれていますが、全員ボランティアです。

彼女たちは私の活動先以外での生活の話や、日本について言葉や文化を知ることにとても興味があり、彼女たちと過ごす時間はとても有意義でした。

楽しいことばかりではなかったから学べた

しかし、もちろん楽しいことばかりではありませんでした。

最初の一ヶ月、私は正直ボランティアの活動に意欲的にはなれませんでした。なぜなら、自分が必要とされていると感じることができなかったからです。

責任感に欠け、二度も仕事を休みました。その時には、プロジェクトアブロードの現地オフィスのスタッフが話を聞いてくれたり、活動先の様子を確認してくれるなどの対応をしてくれました。

結果、私は所長と話し、El Vagonに来ている子供たちの置かれている環境、その地区の状況などを知り、あらためて子供たちと向き合うことができました。

言葉に表現するのは少し難しいのですが、私は子供たちのことをなにも知らなかったがゆえに、服装やふるまいで彼らのことを判断していたのです。

活動先として派遣される場所は、もちろん裕福な場所ではない、1人1人違う環境で育ち様々な問題を抱えています。それを理解した上で子供たちと関わることが、活動をするために大切であると、今は思います。

これから参加する方へ

プロジェクトアブロードの活動を通して自分にかえってくるものは、人によって異なります。

しかし、必ずなにかを得ることができます。ボランティアとしてなにかをして "あげる" のではなく、わたしたちボランティアが "学べる" 環境がそこにあります。

貴重なお金と時間を使い、日本ではない国でなにかをすることで、だれかから単に与えられるものではなく自分が自身の活動で得たものは、お金や時間以上の価値が生まれると私は考えています。

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アルゼンチンでチャイルドケア 武井愛美

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

この体験談は孤児院での活動に言及していますが、現在プロジェクトアブロードは地域型のチャイルドケアに焦点をあてた活動に取り組んでいます。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。