ずっとあった夢

私はもともと災害看護や海外支援に興味があり、いつか看護師として国際医療ボランティアに参加したいと考えていました。

複数のボランティア団体の中でProjects Abroadに興味を持った理由として、様々な国からボランティアが参加していること、複数のプログラムがあること、活動国・活動期間などが自由に選択できることなどがあげられます。

Projects Abroadに最初にコンタクトをとったときは、活動国はアジア圏、プログラムは看護でという希望でした。

英語力に不安があったため、アドバイザーさんから当初活動国として考えていたベトナムオフィススタッフとスカイプでのやりとりを勧められました。

実際に現地スタッフと具体的な活動の教えて頂く中、語学力も大丈夫と言って頂き安心できました。

アドバイザーさんとのやりとりの中で看護は視察メインになると聞き、物足りなさを感じていたところ、公衆衛生だと患者さんとより関われることを知り、最終的にはカンボジアでの公衆衛生プログラムを選択しました。

渡航前の一工夫

渡航前に不安に思っていたことは、語学力です。

私の英語力としては、基本的な会話なら問題ない程度でした。

もともと医療英語を勉強したいと考えていたので、Projects Abroadと提携しているセブの語学学校にひと月留学し、その後ボランティア活動に参加しました。

地域型の公衆衛生活動の中で

公衆衛生プログラムの活動では、毎日違うコミュニティに出かけました。

コミュニティに出かける前に、毎朝薬品の入ったバックに薬を補充しますが、訪問先によって特定のものは量を多めに持参するなど、工夫していました。

例えば、保育園に行くときは創傷ケア物品を多めに持っていく、脳出血後の患者さんがいる施設を訪問するときはアスピリンを多めに持っていく、などです。

基本的には保育園で子供たちに対して健診を行い、手洗いや歯磨きを教えます。

同時に保育園内に大人の健診エリアを作り、大人に対しては血圧と血糖値を測定し、主訴を聞き、必要ならば薬やアドバイスを与えていきます。

私が活動開始したときは、ちょうどシルクアイランドという島で、小学生への歯磨きプロジェクトが始動したところでした。

私より前から来ているボランティアが、子供たちの健診で虫歯が多いことに驚き、活動を始めたようです。

具体的には、歯に良い食べ物・悪い食べ物をゲーム感覚で学び、歯磨きの方法を教えました。

ネット上で寄付を募り、子供たちにハブラシと歯磨き粉をプレゼントし、自宅できちんと歯磨きができたらチェック表に印をつけていくという流れです。

親に対してもクメール語で書いたメモを渡し、協力を得ました。

このプロジェクトは実施途中なので評価はまだ先ですが、子供たちの虫歯が少しでも減ることを願ってやみません。

専門経験と語学力の狭間で

現地の住民はクメール語を話すため、活動に同行するカンボジア人医師と看護師がクメール語⇔英語に訳してくれます。

英語力不足はこれまでの看護師としての経験でカバーし、薬品については一覧表があるので自分で調べ、日本で使用されている薬に対応して覚えました。

最初の2週間ほどは、新鮮さやできることが少しずつ増えることを実感し満足していました。

しかし後半になると、公衆衛生プログラムは医療職でなくても参加できるため、自分が看護師として来ている意味を考えるようになりました。

患者さんにアドバイスをするときも、周りのボランティアはいろいろ意見を出すことができても、私は話を理解することに精一杯で、自分から提案する余裕はなかったので、もう少し語学力と時間的・精神的余裕があればできる幅が広がったと思います。

カンボジアでの共同生活

カンボジアでの生活は、ボランティアアパートメントで他のボランティアたちと共同生活をしました。

私が滞在したときは、ヨーロッパ圏・オーストラリア・韓国・日本から来たボランティアたちと過ごしました。

一番大変だったのは、英語でのコミュニケーションです。

一対一で会話するならそこまで問題ありませんが、皆で会話する場合、話の概要については理解できますが、細かい点を理解し、それを踏まえて自分から発言するということは難しく、うんうんと相槌を打つばかりでした。

そのような中でも、他のボランティアたちは私の返事を待ち、言おうとすることを理解してくれました。

部屋は大きさによりますが、2~4人部屋でシェアします。

私は滞在した4週間のうち、2週間はオーストラリアから来たボランティアと部屋をシェアしていました。

彼女とは毎朝アパートメント前にあるコーヒーショップでコーヒーを飲んだり、彼女も医療職でプログラムも一緒であったことから、医療系の話をしたりと、心地よいシェア生活を送ることができました。

シャワーはお湯ではないですが、毎日夏のような気候なので生温かい水で、慣れれば問題はありませんでした。

洗濯は近くのランドリーを利用しましたが、出来上がりは翌日と早く安く便利でした。

食生活については、飲料水はアパートメントにウォーターサーバーがあり、自由に飲むことが可能で、食事は毎食カンボジア人スタッフが作ってくれました。

さすがに生野菜は難しいですが、野菜をたっぷり利用した食事でしたし、米が主食なので私は問題なかったです。

ただヨーロッパ圏やオーストラリアから来たボランティアたちは、毎日米だったのは辛そうに見えました。

自由時間も満喫

ボランティア活動以外での過ごし方としては、夜はときどきですが、皆でごはんを食べに出かけたり、バーに出かけたりしました。

週1~2回はProjects Abroadがコーディネイトしたアクティブティがあるので、それに参加したり、また週末は個人でプノンペン市内の観光や、他のボランティアと1泊2日で郊外に出かけたり、たくさんの思い出をつくることができました。

現場で得た大事な気づき

今までずっと病院勤務だったので、公衆衛生分野での活動も、ボランティアに参加することも初めての体験で、全てが学びでした。

住民たちは、血圧や血糖を測ってあげると、「この値ってどうなの?」という素振りを見せ、健康には関心はあるようにみえました。

しかし具体的な知識が十分ではないためか、薬による症状の改善が目的で、疾病の根本的解決には興味が薄いように感じました。

カンボジアでは、糖尿病は一般的な疾病で、血糖値が400㎎/dl以上の患者さんにも何人か出会いました。

その多くは、血糖降下剤を内服することで満足し、運動や食生活の改善は、仕事などを理由に充分ではありませんでした。

またボランティアのひとりがコミュニティのゴミの散乱に着目し、環境整備を訴え、具体的な活動案としてゴミ拾いをする習慣づけや、ゴミ箱の設置などをあげていました。

しかしカンボジア人スタッフは、「過去にゴミ箱を設置したが、ゴミ箱が盗まれてしまった。彼らは貧しくて生きるために必死だから、ゴミ拾いをするような余裕もない」という反応でした。

これらのことから、それが良いとわかっていても、変えることの難しさを感じました。

私たちの「こうあるべきだ」という考えはスムーズには通用せず、彼らの生活を理解し、実行可能なアドバイスを繰り返し伝えていくことが大切さに気づくことができました。

さらに前進していきたい

今後は、機会があれば、看護実践の面で海外ボランティアができればと考えています。

ボランティア期間中だけでなく、ボランティア活動前のセブ留学やボランティア終了後のベトナム旅行で、同じように海外支援に興味ある仲間たちに出会うことができたことも、素晴らしい体験のひとつです。

最後に、活動分野や活動国の決定に優柔不断な私につきあってくれた日本支社のスタッフ、活動決定後は遠い南アフリカの地から渡航前サポートして頂いた日本人スタッフ、活動そのものを支えてもらった現地カンボジアスタッフ、現地で出会ったたくさんの仲間たち、本当にありがとうございました。

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カンボジアで公衆衛生 大村まゆみ

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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