夢への第一歩
「将来、発展途上国で医師として働きたい。」
その夢をかなえるための第一歩として、私はこのプログラムに参加することにしました。
発展途上国でボランティア活動ができること・公衆衛生や医療について学べること・仲間とともに活動ができること。
この三つが、私がProjects Abroadを選んだ理由です。
私の将来の夢は病院へ行けないような人々の診療を行うことであるため、より地域の人々と密にかかわることができる公衆衛生プログラムを選びました。
日々の活動
午前は子どもたちへのヘルスチェックと公衆衛生の授業を行いました。
現地の子どもたちは英語が話せない子が多いため、ジェスチャーやハンドサインを使って会話しました。
挨拶や自己紹介がクメール語でできたら、より楽しめると思います。
各学校では子どもたちにヘルスチェックを行いました。
元気に過ごしているように見えるけれども、虫歯があったり、傷があったりする子も多く、定期検診の大切さを実感しました。
受診料が払えないからという理由で放置されてしまうことも多く、貧困問題の深刻さも感じました。
子どもたちへの授業は各班で決めたテーマに沿って行います。
私の班はリサイクルに関する授業を行いました。
街ではごみを燃やす様子が多くみられ、教室には多くのごみが落ちていました。
分別用に複数のごみ箱が置いてある教室もありましたが、子どもたちがどのように分別するのかを理解していないといったこともありました。
私たちはリサイクルの必要性について伝えた後、実践として皆でごみの分別を行いました。
リサイクルという言葉になじみがない子どもたちにとっては少し難しかったようです。
プラスチックとガラスの見分け方を教えるのにはとても苦労しました。
最終日の授業後、現地の先生が私の班の教えた分別方法に則ってリサイクルのためのごみ箱を用意するとおっしゃってくださいました。
二週間の努力が認められたようでとても嬉しかったです。
小さな変化を起こせたことを私は今でも誇りに思っています。
小学校では休み時間に子どもたちと遊ぶこともありました。
小学校を去るときに、ハグしていい?とたくさんの子どもたちがお礼を言いに来てくれたのは忘れられない思い出です。
そのほかにも、貧困地域や病院の見学、リハビリ施設の訪問などのカンボジアの現状を知るための活動もいくつかありました。
日本と比べると衛生的であるとは言い難いです。
しかしその場所の衛生環境にかかわらず、カンボジアの子どもたちは無邪気でとてもかわいく、彼らの笑顔のためなら私は頑張れるだろうと感じることができました。
観光する機会もありました。
アンコールワットやアンコールトムではクメール王朝の輝きを感じることができますが、実はカンボジアはクメールルージュによる虐殺があった地でもあります。
そして現在、カンボジアは変化し続けています。
再び同じ地へ降り立った時に、今とは異なるカンボジアの街並みを見ることが楽しみです。
二週間の変化
現地にいた二週間、高校生である私が周囲に及ぼす影響について深く考えました。
二週間が終わるころには答えが定まってきました。
私が伝えた公衆衛生に関する知識を少しでも子どもたちが覚えてくれていたら、子どもたちの生活は変わると思います。
遠くの国から来た高校生と初めて会って、世界に興味を持った子もいました。
カンボジアのある中学生は、いつかは日本に来ることが夢であると語り、日本語の勉強を始めていました。
また、二週間で積極性が養われ、自信がつきました。
他人にどう捉えられるか分からないという不安から、今までは将来の目標をあまり周囲の人に伝えていませんでした。
しかし今は、積極的に自分自身の意見を周りに伝えようと思っています。
私の目標に自信をもってよいと思えるようになりました。
それはたぶん、同じような道を志す高校生たちや私の夢を応援してくれる人々に出会うことができたからだと思います。
出会い
二週間でたくさんの人と関わることができました。
カンボジアにはフレンドリーな方が多く、日本から来た私を皆歓迎してくださいました。
スタッフの方々には大変お世話になりました。
食事や観光の途中でたくさんおしゃべりをしたり、冗談を言い合ったり…と私たちの気分まで盛り上げてくださいました。
別れの時にはしぜんと涙が溢れました。
将来カンボジアを再び訪れようと思っています。
その時はお世話になったスタッフの方々に会いに行こうと思っています。
また、同じ道を志す世界中のたくさんの仲間と出会うこともできました。
彼らとは今でも連絡を取り合っています。
将来皆で世界に変化を起こしたいと思います。
これから
二週間のボランティア経験は進路を決める上で大きなヒントになりました。
実際に途上国で回診を行っているスタッフの方々に話を聞いてもらうことで、私の目標はより明確になりました。
カンボジアは貧富の格差がとても大きい国です。
富裕層の人々は診療費を各自で払うことができます。
最貧困層の人々は政府による補助金を活用できます。
それでも多くの貧困層の人々は十分な医療を受けることができていません。
これがカンボジアの医療分野における課題だと私は感じました。
公衆衛生に関する知識が普及していないことも大きな課題と言えます。
知識の不足によって、栄養不足や肥満、生活習慣病が起こる可能性もあります。
このように日本とは異なる課題がみられる発展途上国で、将来私は地域に根ざした医師として働きたいです。
これからは情報発信を進めるとともに、課題の解決策を模索していきたいと思います。
いつか、お世話になったカンボジアの人々に恩返しをしたいです。
これから参加する高校生へ
カンボジアに行くことができて良かったと今は心の底から思います。
自分の目で現状を見て、現地の人の声を聴き、カンボジアという国の将来について考えることは、カンボジアに行ったからこそできたことだと思います。
ボランティアに参加するか迷っている皆さん、勇気をもって参加してみてください。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。