机上の勉強を実践へ
私は4週間、タンザニアのモシという街で教育プログラムに参加しました。
タンザニアを選んだ理由は、大学でスワヒリ語や東アフリカ(特にタンザニア)の文化などを勉強していたため、自分のスワヒリ語運用能力を試したい、これまで学んできたことを実際に自分の目で確かめ、肌で感じたいという思いがあったからです。
中でも、プロジェクトアブロードは過去に利用した先輩や友人から滞在に関するサポートが手厚いと聞いたことや、日程が自由に決められることから魅力に感じ、お世話になることに決めました。
また、今回の活動参加前にイギリスの大学に留学しており、そこで英語が母語でない人を対象とする英語教授法を学んでいたことから、理論で学んだことを実践として何らかの形で活かせるのではないかと思い、教育プログラムに参加することにしました。
子供たちがくれた刺激的な毎日
プログラム活動中は、インターナショナルスクールの保育園で、平日8時から13時半まで過ごしました。
始業前に子供達と一緒に遊んだり、実際に英語や算数の授業を担当したり、宿題の丸付けをしたり、昼食の配膳を手伝ったりなど、様々な経験をさせてもらいました。
教育に関する知識や経験は全くありませんでしたが、現地の先生方にもフォローして頂き、一緒に相談しながら指導案を作ったり、子供達に上手く伝えられない時にはサポートしてもらったり、「子供達と折り紙がしたい」と話して授業の時間を割いてもらったり、とてもお世話になりました。
子供達は私を見つけると「Teacher!」とかけよってきてくれ、お菓子を分けてくれたり、何かを見つけた時には走って見せに来てくれたり、友達と喧嘩して泣いているかと思えば次の瞬間また笑いながら追いかけっこを始めていたり、感情表現が豊かな子供達に毎日ついていくのに必死で、かなり刺激的な毎日でした。
アフリカに来たんだ
休日には、他のボランティア達と一緒にマサイの人々が暮らす村やキリマンジャロコーヒーを栽培している農園へ案内してもらったり、ケニアとの国境をまたぐ湖に連れていってもらったりしました。
また、3泊4日の本格的なサファリにも行き、野生動物を間近で見るという貴重な経験もすることができました。
決められた行程に合わせるのではなく、自分達の要望に合わせてアレンジしてもらえたため、気兼ねなく楽しめ、とても良い思い出になっています。
その他にも、ホストファミリーと街に買い物に行ったり、キテンゲと呼ばれる布で仕立屋さんにオーダーメイドの洋服を作ってもらったり、仕立屋さんと仲良くなってすっかり話し込んでしまったりと毎週末充実した時間を過ごしました。
ずっといたかったと思えた
私にとっては、ホームステイも魅力的な滞在環境でした。
前述の通り、大学でスワヒリ語やスワヒリ文化を勉強していたので、「これが○○か!」と学んだことが繋がった瞬間はとても面白く、実際に現地の人々と同じ生活ができたことも、旅行では得られない経験だったと思います。
停電の日は、みんなでロウソクを囲んでゲラゲラ笑いながら話し、電気が復旧するとみんなで手を取り合って喜びました。
ホームステイ先の近所の子供達とは、活動先から帰ると毎日おしゃべりしたり歌ったり遊んだり、この時間がずっと続けば良いのにと思う日ばかりでした。
コミュニケーションの本当の鍵
滞在中のコミュニケーションについては、当たり前ですが、活動先でもホームステイ先でも会話は英語でされるため、英語力があるに越したことはないと思います。
しかし、英語力に自信がなくても過度に心配することはありません。
実際、私と一緒に滞在していたイタリア人のボランティアは、当初英語が全く話せませんでしたが、覚えたての単語や表現を使ったり、身振り手振りでコミュニケーションを取ったりして、周囲とすっかり打ち解けており、英語が話せないハンデをほとんど感じさせませんでした。
拙い英語や文法がめちゃくちゃの英語でも一生懸命伝えようとする熱意があれば聞き手は理解してくれますし、こちらが理解できなくても丁寧に説明してくれるので、間違いを恐れず積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切なのではないかと思います。
葛藤の中で得た成長
プログラムの活動は、もちろん楽しさややりがいだけでなく、自分の不甲斐なさや教えることの難しさを感じることもありました。
特にだめなものをだめと指導するのはとても難しく、子供達に怖がられ嫌われたくない気持ちと、このままではいけない気持ちが拮抗しました。
だめなことを容認し、黙って見ているのは簡単で楽ですが、「私は何でここにいるのか」を自問自答し、勇気を出して時には厳しく注意もしました。
私は今まであまり意見を主張できず、黙って周りに流されがちだったのですが、この経験を機に自分から発するようになり、参加前と比べて少しは変わったなと感じています。
次は私が誰かのきっかけに
日本に帰国して4ヶ月が経った今でも、タンザニアで出会った人々や見た景色、食べた味、話した内容などを思い出して、心がギュッとなる瞬間がよくあります。
今後、私自身が日本で生活しながらタンザニアに直接携わる方法は限られていますが、実際に私自身が現地で見たもの、聴いたもの、感じたことを発信することで、まだまだ日本で偏ったイメージを持たれがちなアフリカやタンザニアに対して、多くの人が興味を持ち、知ってもらうきっかけに私がなりたいと考えています。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。