理由はシンプルだった
就職活動が本格的に始まる前に何か楽しいことをしたいという漠然とした考えから、私は大学2年生の春休みにケニアの環境保護プログラムに参加しました。
何も明確な目的を持たず、ただ動物が好きという理由でこのプログラムを選びましたが、結果として想像を超えた素晴らしい経験をさせていただきました。
そのため、ちゃんとした理由や目的がなくても、私のようにとりあえず行ってみるという選択もあるということをまず初めにお伝えしたいです。
多様な活動から見えてきた姿
現地での活動は、主に野生動物の個体数調査や、有害植物の除去・石の壁を直す・罠の回収、学校の床をコンクリートにする作業でした。
野生動物保護がメインという訳ではなく、これらの様々なボランティア活動を1週間のうちにまんべんなく行うといった形です。
野生動物の個体数調査は、ジープという車に乗って保護区を周り、キリンやサル、鳥(日によって調査対象が違います)を見つけては写真を撮り、記録していくという作業を行いました。
また、週に1度ライオンを見に行く活動がありました。ジープの屋根を開けて顔を出すことはしょっちゅうありますが、降りることはほとんどありませんでした。
これらのことから、野生動物の保護活動だけをがっつりやりたいと思っている人にとっては、少し物足りないかもしれません。
しかし、色々なボランティア活動を行うにあたって、現地の子供たちやレンジャーとの交流が図れます。そこでケニア人と日本人の性格・考え方の違いや、教育環境の違いを知ることができました。
ケニアの現場には、非常に短い鉛筆を持ち、ボロボロの制服を着て、お菓子を持っていないかと常に聞いてくる子供たちがたくさんいました。
これは、日本では見ることができない現状です。恵まれた環境で勉強が出来ているにも関わらず、ぬるい大学生活を送っていた自分を変えたいと思いました。
人によって捉え方は様々でしょうが、日本との違いを自分の目で確かめることによって、何か考えさせられるものがあると思います。
鳥のさえずりと満点の星空
平日の活動以外の時間は、そのほとんどを滞在先の家で過ごします。
家はとても広く快適で、水洗トイレや温かいシャワーも利用できます。
ご飯は毎回シェフが作ってくれ、とても美味しかったです。
滞在先の家の周りには危険な肉食獣は生息していないので、野生動物が夜に襲ってくる心配はありませんでした。
家のすぐ近くにキリンやシマウマが遊びに来る、鳥のさえずりを聞きながらお昼寝する、庭に寝転がって満天の星空をみる、といった非日常な生活はとても楽しかったです。
自然が好きな人にとっては、本当に幸せな環境だと思いました。
また、自由時間が多いので、本やカードゲームを持っていくと有意義な時間を過ごせます。
積極的に他国のボランティアの人と会話して、文化の違いを知ることもとても良い経験になりました。
休日と思いがけない経験
休日は、ショッピングモールやお土産屋さんに遊びに行きました。
ケニアには食べ物系のお土産がほとんどないので、ショッピングモールの食料品売り場で買うことをおすすめします。
物価は日本に比べて安い印象でした。
私が滞在していた時期は、主にアジア圏でコロナウイルスが流行っていたので、アジア人だというだけで嫌な顔をされたり、避けられたりすることもありました。悲しい気持ちになりましたが、避けられる側の立場にいる人の気持ちを味わうことができたので、この時期に参加できて本当に良かったと思いました。
これから参加する方へ
もしこのプログラムへの参加を迷っている人がいれば、私から3つアドバイスさせていただきたいです。
1つ目は、出来るだけ英語を事前に勉強しておくということです。
ほとんどの活動は、何も知識がなくても、言われたこと書く・写真をひたすら撮るなどの簡単な作業をこなすだけで出来てしまいます。
さらに、それらの作業を行うにあたって、高い英語力は必要ではありません。そのため、自分は英語があまり話せないから、活動を行うのが難しいのではないかという心配はしなくていいと思います。
ただ、その活動の目的は何か、私たちが行っている活動が野生動物や現地の人々にどのように貢献しているのかなどの深掘りした内容を知りたければ、自分から積極的に現地の人に質問する必要があります。
より具体的、専門的なことを聞きたくなるほど、その分高い英語力が求められます。
そのため、英語は事前に勉強しておくと、活動の中で得られるものは多いと思います。
2つ目は、出来るだけ長期間で参加するということです。
私は元々4週間滞在する予定でしたが、コロナウイルスの影響で2週間と少ししか滞在出来ませんでした。
期間が短いと、いわゆる「お仕事体験」のような過ごし方になると思われます。
何週間も活動を続けていくうちに、長期にわたって行う活動(学校の床をコンクリートにする活動など)を完成させることができたり、活動に慣れてきて自分の出来ることが増えたりするので、プログラムを終えた後の達成感は短期間の参加とは比べ物にならないほど大きいと思います。
3つ目は、プログラムに自分を変えてもらおうとするのではなく、プログラムを行う中で自分が積極的に変わろうとすることです。
ただ受動的に活動に参加するだけでは、得られるものは少ないと思います。
実際に私の周りのボランティアの方々は、現地の動物について図鑑で調べたり、自分の研究内容を現地の人と共有したりと、空き時間を活用して積極的に行動していました。
滞在期間中に自分自身がどう行動するかによって、活動の価値が変わってくると思いました。
最後に
最後に、私は今まで海外に行ったことがなく、さらにケニアという異国の地に行くことに不安でいっぱいでしたが、日本人スタッフの方が渡航前のサポートをして下さり、ケニアに到着してからは現地のスタッフの方々が安全に活動を行えるよう配慮して下さいました。
そのおかげで安心して活動に専念することができ、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。