医師となる夢に近づくために

私の将来の目標は、医師となることである。

従って、医学部受験にあたって、海外の医療現場を自分の目で確認することによって医療への意識を高めるために、医療ボランティアをインターネットで探して、プロジェクトアブロードの存在を知った。

しかし、海外医療の実態や格差を自分の目で確かめたいと思いながらも、かなり迷っていた。

医療が発達していない発展途上国のタンザニアでの医療プログラムには興味があったが、初めて一人で行く海外がアフリカというのは、私自身不安であった。

しかし、プロジェクトアブロードによるメールや説明会などで、安全性や予防接種などの相談に乗ってもらう中で、不安は解消されていった。

その結果、希望のタンザニアへの活動を決意することができた。

高校生スペシャルも勧められたが、自由に予定を組み立て自主性を高めたかったので、通年プログラムにした。

まさかの、1日遅れでの到着

飛行機の出発時刻は、午前0時30分の深夜便だった。

だが、日付が切り替わることを失念していて、搭乗日に遅れてしまったのである。

結果的には、プロジェクトアブロード提携の旅行代理店の迅速な対応で、一日遅れで搭乗することができた。

ドバイでの乗り継ぎを何とか経て、ダルエスサラームに到着すると、ホストファミリーの方とプロジェクトアブロードの方が出迎えて下さった。

翌日は、プロジェクトアブロードの方がSIMカードの購入とエクスチェンジを手伝ってくれた。

周辺の案内もしてくれ、とても親切であった。

バジャージに乗って

私の活動場所は、首都でスリや強盗が多発している区域だったので、病院への送迎はバジャージ(日本でいうタクシー)で毎朝迎えが来てくれた。

バジャージの運転手さんは、陽気で明るい方で毎朝元気を貰えた。

このバジャージ、大変素晴らしい乗り物なのである。

というのも、車の横の窓が、天井があるだけでオープンになっており、直に空気を感じることができた。

また、注意点として現地で食料の残りや水などを少しでも放置しておくと、蟻がすぐによってくるので注意が必要である。

驚きの連続だった医療現場

病院では、外科の担当だった。

私は医師の助手が主な活動だったが、見学をすることによって学べたことも多い。

針金が飛び出している縫い跡や骨が見えそうな傷跡にも、生理食塩水、過酸化水素水、ポピドンヨードを使用し、ガーゼやテープなどで処置を施した。

傷口に患者が持参した医療用ではない食用の蜂蜜を塗るのには、文化の違いを感じ驚いた。

これは、病院の手術室での出来事だ。

医師が電動ノコギリを取り出してきた時には、小さな女の子の腕を切断するのかと思い、たじろいでしまった。

結果的には、ギブスの切断だったのだが、刺激的な体験となったのは間違いない。

国立病院であったが、故に患者が多く、大変だったが、その分やり甲斐は感じた。

病院の指導教官の医師もとても優しい方で、理解不能なスワヒリ語などがあると、辞書を交えながら丁寧に説明して下さった。

これは、プロジェクトアブロードの方やホストファミリーの方々も同様である。

現地では、覚えたばかりのスワヒリ語で簡単な挨拶をし、距離を縮めることを意識した。

タンザニアで孤児と接して

孤児院にて、身体検査での孤児との触れ合いには、心が痛んだ。

やはり親が居ないのは、悲しいことだ。

タンザニアでは、戸籍制度が無い故に、18歳未満の10人に1人は孤児と呼ばれている。

最初は距離を感じたが、タンザニアで撮影した動画を見せたりなどをして、親しくなれた。

動画が物珍しいのだろう。

笑顔をみていると、物質的には貧しかろうと、人としての素直な感情が伝わってきた。

休日の気分転換

休日は、予定を自分で組み立てなければならないので、退屈するかと思ったが、他のボランティアメンバーとショッピングやビーチに行ったり、会合があった。

厳しい医療現場から離れる時間も作れて、気分転換も可能だった。

ホストファミリーの方が、パーティに連れていって下さったりと、充実していたように思う。

環境の変化の中で

一番苦労したことというと、現地で蕁麻疹を発症したことだろう。

幼少の頃から環境の変化でなることがあったのだが、久しぶりに発症したので少々焦った。

休養をとらせてもらい、翌日には迅速な対応で病院に連れて行って貰えた。

病院でローションと飲み薬を処方された後は、見違えるように元気になった。

病院代は、後に全額返却される。

手厚いプロジェクトアブロードの対応には、感謝しきれない。

行った者だけが得られる経験

体験できることは、人それぞれ違う。

それは、実際に行ってみなければわからない。

だが、少なくとも私にとってこの二週間は、とても素晴らしい時間になったのは間違いない。

日本では手術が必要な怪我でも、タンザニアでは簡単な処置で済ませてしまう。

医療の領域の格差を実感した。

一方、清潔好きな日本人としては、私自身が環境の変化に対する耐性が弱く、アレルギーを起こしてしまっている。

人間が本来持っている免疫力の低下が気にかかるところだとはいえ、私は将来、日本だけではなく医療の発展していない国に行って、医学に携わりたいと感じた。

これから参加する方へ

興味を持ったその瞬間が、行くべき時である。

医師になりたいという私の目標が更に強固となった今回のボランティアは、非常に有意義な時間となった。

学びたい気持ちがあるのなら、プロジェクトアブロードに参加するべきだと、私は思う。

ここは、その願いが叶う場所なのだから。

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この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

この体験談は孤児院での活動に言及していますが、現在プロジェクトアブロードは地域型のチャイルドケアに焦点をあてた活動に取り組んでいます。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。