座学から実践へ

もともと人々の暮らしや生活文化の国際的な差異に興味があり、大学で比較文化学や社会学を学んでいました。

せっかくなら、座学にとどまらず実際に海外での生活をしてみたいと思たったのを機に、インターネットで情報収集。

ボランティアや海外支援の団体は数多くありましたが、それよりは現地の人と暮らしを共にすることに焦点を当てたい、かといってただのホームステイでは物足りない…

そんな中で見つけたのがプロジェクトアブロードの異文化体験プログラムでした。

渡航先としてフィジーを選んだ理由はこれといって無く、これまでオセアニアの国々に興味を持ったことがなかったので、あえてそちらに行ってみようという程度です。

フィジーの人々と習慣

大学の夏季休暇を利用して3週間、伝統的な暮らしをしている小さな村落にステイさせてもらうことになりました。

私がステイしたのは、Dratabu villageという村。

その中では、女性が外に出る時には必ずsuluと呼ばれる巻きスカートかロングスカートの着用が絶対で、玄関先に止められたタクシーに乗り込む前、という短い時間であっても必ず。

村の人たちは家の中も外も常にはだしで歩きまわっていて、ぬかるみの中も平気でずんずん歩き、そのまま家の中に入っていくのにははじめカルチャーショックを受けました。

村の生活インフラはある程度しっかり整っていて、家電も様々ありますが、私のステイ先にはガスコンロがなく、毎日薪で火をおこして調理していました。

お湯は当然のように出ず、自分のステイ先は大丈夫でしたが、数軒先の家のあたりで一時的に水が止まってしまっている、ということも。

とはいえ村の人たちは、それが不便だというよりは「それが当たり前」というような様子で、工夫を凝らしながら淡々と毎日を送っており、私自身慣れていくうちに、不便さよりもここでの生活のリズム感のようなものを感じるようになりました。

午前中はホリデースクールでのボランティアをしていましたが、午後の過ごし方は日によって様々です。

時には村の子供たちと一緒に遊んで手遊びや歌を教えてもらったり、村の中を案内してもらったり…。

ホストファミリーには子供がいなかったものの、近所の親せきの子たちの面倒をいつも見ていたり、知り合いが家の通り過ぎるたびに声を掛け合ったりするなど、村の中での人々の結びつきは非常に強いです。

また、他のホストファミリーの家でほうきづくりをお手伝いさせてもらったことも。

家の近くに生えている植物からつくるのですが、ほかにも野菜や果物など様々な植物が村中に生えていて、日常生活のあらゆる場面で利用されていました。

ある日、ココナッツを町の市場で買って帰った時には、村の人から「買わなくても、あそこにあるのいくらでも飲ませてあげるのに!」と言われ、何かが欲しい時は買いにいく、という観念に自分がいかに囚われていたかに気付いて一緒に大笑い。

フィジーの本当の姿を知って

時々、私が日本人だと知った現地の人たちから、「フィジーは日本と違って、”遅れた” 国だ」と言われることがありました。

確かに様々な問題はあるとはいえ、そう聞くたびに感じるのは、フィジーの生活の在り方が否定されているような虚しさや悲しさ。

フィジーでの暮らしや価値観を手放しに称賛することはできないですが、ここにある複雑な文化体系や日常生活のかたちは、「進んでいる」「遅れている」というものさしでは測れないものです。

この村の自然や人々が生み出す、日本とは違った空気感や時間の流れの感覚はなかなか言葉にするのが難しいですが、だからこそ実際に行って、自分の肌でそれを感じられたのは非常に良い経験でした。

このような経験をするにあたって、関わってくださった多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

また手厚いサポートをしてくださったプロジェクトアブロードのスタッフ・コーディネーターの方々、本当にありがとうございました。

この貴重な時間を、今後の勉学や将来の進路に少しでも生かしていきたいと思います。

いつかまたフィジーに戻る日を楽しみに…。

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フィジーで村落生活体験 村野あかり

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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