海外ボランティアへの参加を検討中のみなさん、お金についていろいろ気になっていることも多いのではないでしょうか。
「どうやってお金を持って行けばいいの?」
「いくら位お金を持って行けばいいの?」
「両替はいつ、どこで、どうすればいいの?」
「お金の管理はどうすればいいの?」
大丈夫です。
過去に実際に参加したボランティアの経験とスタッフの長年の知恵がここに結集!
これを読めば、お金の準備の仕方が明確となるはず。
現地でのお金のトラブルを避ける意味でも、ぜひご参考ください。
1. お金の持って行き方
お金は、最低2通り以上で用意するのが、得策。
用意した一つの方法が何らかの理由で利用できなかったとしても、これで慌てることはありません。
基本の2通りとして、以下がおすすめです:
高校生:
- プリペイドカード
- 現金
大学生以上:
- プリペイドカードまたはクレジットカード/デビットカード
- 現金
あくまでも、2通りは最低限です。
特に、海外ボランティアに長期間参加する方、現地でたくさんの観光や小旅行を計画している方(=現地でそれなりの出費が予想される方)などは、適宜カードの枚数を増やして3通り以上にするとよいでしょう。
ここで強調したいのは、カードを主な支払い方法とすること。
そして、間違っても現金だけで渡航しないこと!
海外に多額の現金を持って行くことは、盗難や紛失のリスクでしかありません。
絶対にやめましょう。
海外ボランティアに参加するなら、上手にカード類を準備することが大切です。
1.1. プリペイドカード
プリペイドカード一枚あれば、事前にチャージしておくだけでクレジットカードと同じように利用が可能です。
つまり、VISAやMastercardなど、日本国内外での加盟店での支払いはもちろん、そのブランドに対応している海外のATMから現地通貨の引き出しが可能になります。
プリペイドカードは、チャージされた金額しか利用できません。
したがって、クレジットカードのように使い過ぎる心配がなく、高校生をはじめとした若い学生のみなさんでも安心です。
何よりも、両替の手間を省き、海外で多額の現金を持ち歩かずに済むのが最大のメリットと言えるでしょう。
海外留学で良く知られているプリペイドカードと言えば、 VISA系列のかぞくのおさいふやMastercasrd系列のキャッシュパスポートなどがあります。
海外ボランティアだけでなく、今後の海外旅行・海外出張・海外留学にも役立つ一押しの一枚です。
クレジットカードやデビットカードをまだ持っていない方/持つことができない方は、ぜひこの機会にプリペイドカードを作成してみてはいかがでしょうか。
1.2. クレジットカード/デビットカード
大学生以上の方は、お好みでクレジットカード/デビットカード(VISAまたはMastercard)を準備するとよいでしょう。
キャッシング機能付きなら、海外の対応しているATMから現地通貨を引き出すことができます。
発展途上国でも、国際空港や町中にはたくさんのATMが存在します。
ちなみに、クレジットカードはクレジットカード会社に一旦お金を借りる形で支払いや現地通貨の引き出しを行い、後日に一括/分割で返済する仕組みです。したがって、給料日の後などの指定日に、利用金額がまとめて引き落とされるというような利便性があります。
一方、欧米でよく見られるデビットカードは、カードを使う度に代金が銀行口座から即時引き落とされる仕組みです。したがって、口座残高以上に使い過ぎる心配がない利点があります。
いずれの場合も、現地のATMからお金を引き出す際は手数料が発生します。
でも、ATMからの現地通貨引き出し手数料は、両替手数料より安く済むのが一般的です。
カードを作る場合は、メリット・デメリットや手数料をよくリサーチした上で、ぜひあなたの用途に最適なものを選びましょう。
豆知識!
カードを持っていく場合は、渡航前にご利用のカード会社に渡航国と渡航期間をあらかじめ連絡しておきましょう。
急に海外、特に発展途上国でクレジットカードやデビットカードを使おうとすると、カード会社が第三者による不正使用と疑ってストップをかける可能性があります。
事前に渡航国と渡航期間をきちんと伝えておけば、前触れのないセキュリティロックを防ぐことができます。
1.3. トラベラーズチェック
トラベラーズチェックの持参は、避けるのが無難です。
トラベラーズチェックは、かつて重宝された海外旅行者向けの小切手。
金額と署名を記入して渡すだけで額面に応じた支払いできる、両替所などで現地通貨に換金できる、現金の両替よりもレートがよい、多額の現金を持ち歩くリスクがないなどのさまざまな利点から、多くの海外旅行者に利用されてきました。
しかし、それ以上にデメリットも多く、日本では2014年3月に国内販売を終了。
国内外を問わず、取り扱い店、換金できる場所、利用者数が年々減少しているため、トラベラーズチェック離れが進行しています。
したがって、過去に購入したトラベラーズチェックを持参しても、現地で利用できる可能性が低いのでご注意を。
1.4. 現金
現金は、何らかの理由で持って行ったカード類すべてが使えなかった時の奥の手。
海外では、想定外のことが起きたりします。
例えば、持って来たクレジットカードがATMで使えない、カード会社にセキュリティストップをかけられた、カードがATMに飲み込まれた、レストランのカード読み取り機が故障中で現金しか受け付けていないなど、ハプニングは突然やって来るもの。
そんな時にあると便利なのが、現金です。
「現金がちょっとある」ことによって、勝手の分からない海外で心の余裕を保ちます。
1.4.1. 持って行く現金の目安の金額
多くのボランティアが持って行く現金の目安の金額は、一般的に30,000円~50,000円です。
参加期間に関わらず、それ以上の高額の現金の持ち込みは安全上おすすめできません。
あくまでも、主な支払いツールはカード類。
現金は、万が一何らかの理由で主力となるカード類が使えなかった場合の助っ人役としましょう。
1.4.2. 持って行く現金の種類
現金は、USドルまたはユーロで持って行くのがおすすめです。
その理由は、USドルやユーロは世界的に流通量が多いメジャーな通貨であるため、発展途上国の僻地の両替所でも両替できる確率が高いからです。
発展途上国でも、国際空港や都市の両替所では日本円から現地通貨に両替できることがほとんどですが、一部の両替所では日本円を扱っていないこともあるのでご注意を。
また、メジャーな通貨は、国や地域によって現地通貨と併用されている場合があります。
例えば、外国人観光客が多いカンボジアのシェムリアップやプノンペンでは、現地通貨リエルでもUSドルでも支払うことができます。
ぜひ、あなたが渡航する国の通貨事情を事前にリサーチしてみてください。
プロジェクトアブロードでは、マイページ上でもさまざまなアドバイスを提供しています。
1.4.3. 現金が必要となる場面
発展途上国でも、町中では基本的にカード払いが可能です。
ただし、店の規模や地域によっては、現金しか受け付けていない場合もあります。
現金が必要となる代表例:
- 個人経営の小さな商店
- 屋台・露店
- マーケット
- 交通費(娯楽用*)
- チップ
カンボジアのトゥクトゥク(三輪タクシー)や、ガーナのトロトロ(乗り合いワゴン)などの現地のよくある交通手段は、基本的に現金払いです。
ただし、市などが経営するメジャーな交通機関は、乗車券をあらかじめカードで購入できる場合もあります。
チップは、外食ならカードで「飲食代+チップ」を払えば、現金は不要です。
渡航先の交通事情、チップの習慣、行くであろう地元のマーケット事情などを事前にリサーチしておけば、慌てて現金を用意せず済みます。
*活動にかかる現地での交通費はすでに参加費用に含まれています。したがって、自費となる交通費は個人的な交際や観光などにかかる娯楽用のみです。
1.4.4. 両替のタイミング
現地通貨への最初の両替のタイミング/場所は、基本的に以下の2通りです:
- 現地空港到着時/空港の両替所
- オリエンテーション時/街中の銀行・両替所
両替のタイミングは、現地到着時間(早朝や深夜だと空港の両替所が閉まっている)、活動先の地理的な場所、緊急性などによって異なります。
両替をご希望の場合は、現地空港到着時にお迎えのスタッフにアドバイスをもらいましょう。
1.4.5. 両替する金額
現地通貨への両替は、必要最低限にすることを強くおすすめします。
現金が必要であれば、キャッシュ機能付きのクレジットカード/デビットカードを使って、現地のATMから現地通貨を引き出すことができます。
一般的に、その方が手数料を安く抑えられる傾向にあります。
また、現金を使い出すとどうしても小銭が出てしまいがちです。
近い将来その国に再渡航する予定がない限り、余った小銭はなかなか使い道がないもの。
外貨の小銭は日本円に戻すことができない上、マイナー通貨を日本円に戻す際の手数料が高めのため、やはりクレジットカード/デビットカードを利用するのがスマートです。
2. お金の使い道
プロジェクトアブロードの海外ボランティアプログラムでは、空港送迎、宿泊費、活動にかかる現地での交通費、1日3食の食事代はすでに参加費用に含まれています。
また、高校生スペシャルや期間限定プログラムなどの団体プログラムでは、週末の旅行・観光代やそれにかかる交通費も参加費用に含まれています。
これらを踏まえ、現地での出費は以下のような例が挙げられます:
- 個人的な買い物(お菓子、お土産など)
- 外食(通年プログラムのみ)*
- 週末の旅行・観光(通年プログラムのみ)
- 娯楽にかかる交通費(通年プログラムのみ)
- 通信費(現地でSIMカードを購入・利用する場合)
- ランドリー(クリーニング屋などを利用する場合)
- 医療費**
稀ではありますが、その他の突発的な出費は以下のような例が挙げられます:
- 航空券の再発行(本人の過失による搭乗や乗り継ぎの失敗)
- スーツケース/バックパックの買い直し(本人の過失による破損や紛失)
*現地では1日3食分の食事が提供されますが、ご希望であれば自費で外食することもできます。
**ケガや体調不良などで病院にかかった場合の医療費です。海外旅行保険の補償内容および対応をきちんと事前に把握しておきましょう。契約内容によって、キャッシュレスで済むこともあります。
3. 現地の物価
渡航前に現地の物価をあらかじめリサーチし、現地のお金事情の知識をつけておきましょう。
ありがたいことに、インターネット上には旅行者や現地在住者からのお金のアドバイスがたくさんあります。
現地での一般的な飲食代、ランドリー代、SIMカード代、チップの習慣、交通費、観光代など、ぜひ参考にしてみてください。
例えば、アフリカで活動中、自由時間の週末に泊まりがけでサファリツアーに参加すると、数万円単位の出費になります。
訪れたい観光名所がすでにある場合は、費用のリサーチや比較をあらかじめ行っておくとよいでしょう。
この予備知識があると、現地での想定外の出費や「ぼったくり」被害を防ぐことにつながります。
現地到着後、現地のお金事情について何か分からないことがあれば、プロジェクトアブロードの現地スタッフにもぜひ聞いてください!
現地人ならではの知恵を、ぜひ積極的にフル活用しましょう。
4. お金の管理の仕方
海外ボランティア中、お金の管理は基本的に自分で行うことになります。
お金(カード/現金)を持ち歩くのであれば、移動、ボランティア活動、散歩、交際、買い物、観光など、いかなる時・いかなる場所でも、肌身離さないようにしましょう。
日本と同じ感覚でお金を持ち歩かないことが大切です。
特に、以下を心がけるとよいでしょう。
外出先:
- 現金は小分けにして、必要最低限しか持ち歩かない
- 人前で現金を数えない
- 人前で大金を見せない
- 人に財布を見せない、触らせない、渡さない
- 現金や財布をむき出しにして置かない
- 財布にチェーンをつける
- 口をきちんと閉められるバッグを使う
- 財布(が入ったバッグ)を常に視界に入れ、肌身離さない
滞在先:
- 常時、現金や財布はすべて金庫(自分の寝室に備わっていれば)または自分のスーツケース/バックパックにしまい、必ず鍵をかける
- 寝室にいない時は、寝室に必ず鍵をかける(備わっていれば)
「そんなこと?」と思われるかもしれませんが、その油断がお金のトラブルに陥る落とし穴。
ご存知ですか?
日本人は、海外でよくこんな印象をもたれています。
「お金持ちのアジア人」
「安全へのガードが低い」
「(現地通貨の)金銭感覚が乏しい」
「騙されやすい」
「文句を言わない」
「英語が話せない」
「NOと言えない」
「押しに弱い」
日本を一歩出た瞬間から海外であることを忘れずに、お金の管理には細心の注意を払いましょう。
5.お金に関する注意
海外では、時として日本では考えられないようなことが起きたりします。
その免疫をつけるためには、渡航先の事情を事前にリサーチすること。
そして、その対策をきちんと行うこと。
一部の例を見てみましょう:
- 地元のマーケットやタクシーは、値引き交渉が必要となる
- 紙幣で払おうとしたら、お釣りがないと言われる
- お店や両替所でお釣りを間違えられる/少なく渡される
- 道端の物乞いや空港のポーターなど、知らない人からお金を求められる
- 不当に高額な金額や「外国人価格」を請求される
- カード払いのみ/現金払いのみなど、支払方法が限定されている
こんな時、あなたはどう対応しますか?
あなたのお金は、あなた以外誰も守ってくれません。
どんな時も、慌てず、鵜呑みにせず、分からないことは説明を求めるよう心がけましょう。
今あなたにできることは、まずは現地でどんなことがあり得るかを知ること。
そこから始めましょう。